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五分ほど走った場所にあるコンビニの駐車場に、見慣れた軽トラックと昔馴染みである父子の姿が見えた。
「あっ。おーい、祐希―!」
俺の姿を見つけるや否や、大声で名前を呼びながら両腕をブンブン振るのは友人の「永野朝也」――ではなく、その父親である「永野夕助」だ。それを息子が止めるという、相変わらず何とも妙な親子だ。
周囲の視線がものすごく痛い。
「祐希―!元気にしてたか!?」
「うわぁっ!」
彼らの許に駆けて行けば、親父さんにガバァッと熱い抱擁を食らった。
四十代になった今も衰えを知らない親父さんの腕はゴツくて力強い。
いつもは逞しく思うその身体だが、この時ばかりはそうも言っていられない。
「久しぶりだなー。ん?お前、また痩せたんじゃねーか!?」
そのセリフ、二日前にも聞きました…そんなペースで痩せてたんじゃ、きっと俺は今頃骨と皮だけです。
「つ、潰れる…」
親父さんは俺のことを随分可愛がってくれて、会う度に必ずこんなやり取りが繰り返されるわけだが、どうも未だに慣れられずにいる。
もちろん、不快に感じているわけじゃない。
まぁ、毎回窒息死と圧死を覚悟しなければならないのは大変なのだが。
「ほら親父、そろそろ離さないと祐希が倒れちゃうよ。」
永野に引き剥がされて、ようやく解放された。頼むから、次回はもう少し早めに救出をお願いします。
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