【開かない扉】

8/15
前へ
/15ページ
次へ
俺の道案内でアパートに到着し、親父さんと永野が荷物を固定していたロープを解く間に部屋の扉を開けに行く。 鍵を回すときに少々緊張したが、やはり問題なくあっさりと解錠された。 扉を開いたまま再び永野たちの許へ向かうと、親父さんが眩しそうに目を細めて二階の一室を見上げている。 「おー、祐希の部屋はあそこかー。」 「はい。二階で申し訳ないですけど、よろしくお願いします。」 このアパートは古い木造の二階建て。 アパートの中央に螺旋状の階段が設置されている。 各階に三部屋ずつあり、俺の部屋は二階の右端。 変ったことに、全ての部屋の扉の色が違っているのが面白い。 「よし、じゃあ上へ荷物運ぶぞー。」 「その前に部屋の掃除は?」 「昨日、大家さんが済ませてくれたらしい。」 後で挨拶回りをするときにお礼言わないとな。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加