ある週末

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朝ご飯……夕べ何か考えた気がするけどそれは置いといて、トーストが食べたい気がする。 トーストはどこだ? 最寄り駅は、休日出勤をする会社の同僚に会うかもしれない。 今日は同僚には会いたくないから、大通りを通って隣の駅まで歩こう。 途中でモーニングやってる店くらいあるだろう。 牛丼屋の角を曲がって大通りにそって東へ。 Go West! いや、それは西。悟り開いてどうする。 ……それはそれで、幸せになるかもしれない。 ……とりあえず、トーストの煩悩が消えてから考えよう。 四車線の道路の脇をキョロキョロしながらトーストを探す。 喫茶店……まだやってない。 コンビニ……今、私が食べたいトーストはそこにない。 ファミレス……モーニングやってる…… どうやらトーストにありつけそうだ。 登り階段は嫌いだけど、トーストの為だと自分に言い聞かせて登る。 ウエートレスのお姉さんに案内されて、席につく。 注文は……なんだか種類があるみたいだけど、トースト! ……あとは適当で。 夕べの続きの文庫を読もうかと思う程の時間もなくトーストが出てくる。 八枚切りの四角い食パン二枚。ミニサラダとスクランブルエッグとソーセージに一口サイズのヨーグルト。 マーガリンとイチゴジャムの小さなパックが付いてきた。 些か薄めの食パンは、だが表面がカリカリに焼けていて持っただけで噛み切る時の歯ごたえが想像できる。 パックを開けてマーガリンを塗るとジワリと溶けて広がりながら染み込むそれが芳香を放つ……ように思える。鼻あんまり良くないから、よく分からないけど…… 塗り伸ばしたマーガリンがトースト全面に広がったのを確認して角から噛みつく。 焼かれた表面の歯に当たる抵抗感とその内側の柔らかさ。それを包むように存在するミミの堅さ。 マーガリンのあっさりとしたコクと脂特有の甘み。 口の中から広がる焼かれたパンの香り。 ……至福…… もう一口を……堪能する。 堪能する。 堪能する。 ……。 もう一枚にはイチゴジャムを塗って、堪能する! 堪能する。 堪能する。 堪……おわりだ。 食パン二枚のトーストはあっけない。 サラダをつついて、卵と格闘して、ソーセージに噛みつく。 一口サイズのヨーグルトを舐めとる頃には腹も膨れて満足だ。 さて食後のコーヒー片手に昨日の文庫の続きを少し……
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