ある週末

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入り口の下足入れに靴を入れる。今日は『れの二』……れーじ……誰だよそれ。 受付で会員証を見せてフェイスタオルとバスタオルと館内着の入った袋とロッカーキーを借りる。 受付さんの「いってらっしゃい」に送られて、エレベーターで浴場へ。 東日本大震災の後、友人に言い含められたので下着の換えはいつも鞄に入っている。 下着しかないが、真夏じゃないからそれでもいいだろう。 今さらな事を思いながら、服も荷物もロッカーに放り込んで、いざ、突撃! 浴室に入ったところに揃えてある泡立てタオルと使い捨て歯ブラシを取って、空いている洗い場を探す。 十四、五の洗い場にはそれぞれシャンプーだのボディーシャンプーだのが揃っている。 そして定番の、でもちょっと大きなお風呂椅子と幸せな木製の桶! 木製の桶は手触りの良さで他の追随を許さない。 この木が何の木なのか、木の種類などわからないが、この木の手触りの良さは良く知っている。 それで充分。 じゃばじゃばじゃば わっしゃわっしゃわっしゃ ごっしごっしごっし しゃこしゃこしゃこ ストレスを洗い流す… あぁ、これも幸せ… 洗い疲れたら湯船にトプン 公衆浴場では、周りの人に迷惑を掛けないように気を付けましょう。 昔々、どこかの温泉で親に教わったことを思い出す。 周りの人にお湯が掛からないようにするとか、使った洗い場は整理整頓をするとか、座った椅子はお湯を掛けて軽く流すとか、桶も軽く濯いでお湯を残さないとか、タオルとかを洗い場に置いたまま湯船につからないとか、湯船には髪の毛やタオルを入れないとかとか、ごく普通の注意ばかりだけど……。 こんな時間だと、人も少ないから、ごくごく普通に気を付ければ平気だけどね。 ときたま洗い場にタオルを置いたままの人がいる。 知らないのかな? 気付かないのかな? 嫌がらせかな? ブクブクと底から気泡の出てくる湯船がお気に入りだ。 うっかり肩まで浸かると気泡に足をとられてバランスを崩してひっくり返りそうになるのだけは気を付けないといけないが、少し低めの湯温も好みなのでのんびり浸かる。 サウナも他の湯船も岩盤浴までもあるが、もっぱらその気泡湯ばかり。 たまにあちこちチョロチョロしてみるが、やっぱりそこに戻ってくる。 今度は岩盤浴を、と毎回思うが、やっぱり気泡湯から離れられない。……これは……恋?……そんな訳あるか。
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