孤島と嘲笑

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知らない筈なのに、知っている。如何ともし難い奇妙な感情に眉根を寄せるも、それが消え失せることもなく、答えも出ない。 とても端正な顔立ち。日本人離れしたそれはまるで妖精か何かに見えてしまう。 しかしそれよりも、 「あなたは・・・」 碧髪碧眼。寝癖のように無造作に跳ねている髪はしかし美しい碧。目の奥を覗けば吸い込まれてしまうのではないかと思う碧の瞳。そこに不自然さはなく、それが当然であるが如く、美しい。 そしてそれを、知っている。遺伝子が、細胞が、血が。その一族を知っている。大地も隣で唖然とした顔をしている。同じような複雑な感情を抱いているのだろう。 「つっ!」 舌打ちをした少年はすぐにフードを被り直すと、またも強烈な風を飛ばす。 呆然としていた二人は今度は反応出来ずに風によって吹き飛ばされ、厳かに体を地面に打ち付けた。その間に少年は先に弾き飛ばされたもう一人のフードのモノの元へと駆け寄っていく。 空はその場から動けない。自らの身体が言うことを聞かない。 「ヒース!いこう!」 少年はもう一人のフードのモノを抱えるとすぐに飛翔する。 「ちょ、ちょっと!」 空が制止の声を上げるも、彼らは止まらない。ぐんぐんとスピードを上げて離れて行ってしまった。 ふぅ、と尻餅をつく空。身を打ち付けたのは大して気にもならない程度だ。それよりも、彼らへの数多の疑問が浮かんでは消える。手を出してはならない存在、だったのかもしれない。 「大丈夫ですか、空さん?」 起き上がってきた大地が空に声をかける。えぇ、と空は短く返すと、大地に差し出された手を取って立ち上がる。 「とりあえず・・・帰りましょうか。」 苦笑を浮かべながら言う大地。それに空も頷くと、二人で歩き出す。 何も終わっていない。何もわかっていない。何ら変わったことはない。それでも、私たちはこれから起こる災厄を、受け止めなければならない。今後、何が起こるかもわからない中で、災禍の中で、生きるために、守る為に。
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