クリスマスと悲劇

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二人は三回ほど駅を乗り継いで目的の駅に到着した。時刻は既に夕方の六時を回っている。 十二月の後半ということもあって日はかなり短くなり、辺りは既に真っ暗である。 そんな中二人は、駅から歩いて十五分程の遊園地に向かっていた。寒さもかなりのもので、二人は冬用のコートに身を包んだ上にお互いの手を握り、温もりを共有しながら歩いていく。 「すげぇな……予想以上だ。」 「ほんとすごい…綺麗…。」 二人は到着すると同時に感嘆の声を洩らした。二人がクリスマスのデート場所にこの遊園地を選んだのは、このイルミネーションが目的だった。ここの遊園地はこの時期になると毎年大掛かりなイルミネーションを設置し、そのイルミネーションを見るために他県から来る人も少なくない。 遊園地自体はどちらかと言えば小さな方であり、毎日大盛況というわけではないらしい。しかしこの時期になると、イルミネーション目当てで来る人たちで小さな遊園地は埋め尽くされる。大半はやはりカップルである。家族連れもいないことはないが、探すのが困難なのではないかと思うほどに周りを見渡してみてもどこもカップルだらけである。 「やっぱり人多いな。あ、あのベンチ空いてる!」 大地が近くに空いているベンチを見つけ、二人でそこに腰かけた。落ち着いて見ると改めて感動する。ほぼ全ての木に大量の発光球が取り付けられ、地面もところどころライトで青白く淡い灯りで照らされ、足元にもイルミネーションが大量に設置され、雪の結晶を模して壁面に取り付けられたイルミネーションまである。 まるで真っ暗な世界に生まれた光の別世界のようである。 二人してイルミネーションに見惚れている時、大地の頬に何かが当たった。 「ん……まさか…雪だ!」 大地が少し興奮した声でそう言う。周りにもちらほら気づき始めた者たちもいて、皆一様に大地と同じように声を上げ、空を見上げている。 「私たちの最初のクリスマスはホワイトクリスマスだね。一生の想い出だよ、本当に。……一緒にいてくれてありがとうね。」 千尋は大地に言った。後半部分はまるで粉雪のように、今にも消え入りそうな声で小さく小さく呟いた。 その呟きが聞こえたのかどうか、大地の口元もゆっくりと動いた。 ―ずっと一緒だ―
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