クリスマスと悲劇

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前方から近づいてくる車から視線を逸らした大地は、再び歩みを進めた。千尋の門限を破るわけにはいかないので、先程よりも少し早歩きで駅まで向かう。 そのあとを千尋が手をつなぎながらついていく。一見すると兄妹のように見えなくもない二人は、心地よい沈黙を保ちながら歩く。 (トラックか…ちと危ねぇか……?) 先程から蛇行運転を続けている車が前方から迫っているのを見た大地は思う。その姿が街灯の淡い光によって照らし出された時、大地は警戒心を強める。 大地は千尋の手を引き体を引き寄せた。そして千尋を道路の端の塀側に寄せ自らは車道側を歩く。 二人のいる道は住宅が並んでいるため歩道の端には塀が設置されている。念のため大地はそのギリギリまで千尋を寄せた。 自らは近づいてくるトラックから注意を逸らさないように警戒しながら歩く。 「どうしたの?怖い顔してるよ。」 何も感じていないのか、気づいていないのか、大地の行動に疑問を持った千尋は大地に問いかける。 そんな千尋を見た大地はあまりの無防備さに怒りすら湧きそうになるのを堪えて、苦笑に留めた大地は言葉を返した。 「いや、何でもないっての。親父さんに怒られないようにさっさと行こうか。」 千尋が頷くのを見た大地は、歩調を先ほどよりも少し速めた。 その時、前方から迫って来ていた大型のトラックは進行方向をズレて大地たちの方へ向かって来た。
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