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「っ!マジかよ!!」
大地は悪態をつきながらも頭をフル回転させ切り抜ける方法を考える。その間にもトラックはあと10mほどのところまで迫って来ている。相当なスピードを出して走っていたらしい。
このままトラックに突っ込まれたら二人は間違いなく全身の骨を砕かれ吹き飛ばされて命を絶つだろう。千尋は諦めたのか、その青ざめた顔を大地の方へ向け、体も大地へ向き直した。
(ちくしょーちくしょー!どうすりゃいい!?せめて千尋だけでも・・・!!)
その時、トラックの進路が僅かにだが車道方面へ修正された。斜めに大地たちの方へ突っ込んで来ているトラックの横の歩道側に僅かな隙間が生まれたのだ。
(っく!悪い千尋!)
大地は千尋の肩を強く突き飛ばし、その腹を右足で蹴り上げた。
「っ!痛っ!」
千尋は大地に吹き飛ばされながら腹の鈍痛に顔をしかめた。
その瞬間、塀ギリギリにいた千尋の数センチ横をトラックが猛スピードで通過した・・・
(良かった・・・千尋は無事だな・・・)
千尋を突き飛ばし、蹴り上げたことにより、反動で後方に重心がかかっている大地には、もはや目前の大型トラックから逃れる術はなかった。トラックに視界を阻まれる一瞬前に、大地は千尋の方へ目をやった。
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