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葉は花を思い、花は葉を思う
曼珠沙華は葉と花が一緒になって出ることが無いから、相思華とも呼ばれるの。不思議よね。まるで、お互いの事を尊重しているかの様ね。
私、風見幽香は花が好きで1年中花の咲く所に出向いている。勿論、たまには外の世界に行く事も有るわ。
今回はあの野暮ったい鴉天狗の紹介で西武池袋線に乗る事になったわ。何十年ぶりに西武線に乗るわね。当時は本当に駅も何処か寂れてて列車も本当に味気無かったけど、本当に変わったわね。駅が明るくなってるし列車も個性的な車輌も増えたし、色々凄いわね。
そんな中今回乗る列車はこの白い車輌。あの鴉天狗の情報によると、秩父方面への直通列車に使われるってね。確かに周りの列車と比べてみればドアの数も少ないし座席も他の車輌とは違うから本当に行楽地へ行く列車と言う感じね。
辰の刻(午前7時頃)に列車は池袋を出発し、一路西へ向かう。行楽地へと向かう割には淋しい物入りだったわ。でも徐々に乗る人も増えていったわ。
快速急行は本当に速く、池袋を出たら確か、石神井公園、ひばりヶ丘、所沢、入間市、飯能、そして飯能からは全ての駅に停車するみたいね。
さて、私は池袋から7駅目の停車駅である高麗(こま)駅で降りることにするわ。
池袋から1時間程。着いた場所が高麗。この高麗の由来はかつて朝鮮半島に存在した高句麗と言う国名から来ているわね。
そして駅舎の正面に奇妙な物が聳え立っているけど、これはチャンスン(将軍標)と言う物ね。このチャンスンは韓国では道標であったり魔除けの道具として作られたものね。日本国内で在りながら朝鮮文化も根強く残っている地域なのね。
さて、此処に来たからには絶対に行かなければならない場所があるわ。
駅から大体15分程の場所に在る巾着田と言う場所よ。この付近は高麗川が丁度巾着状に蛇行しているからその名が付いたとも言われているわ。
この巾着田と言えばやはり曼珠沙華の花が有名でしょうね。巾着田には100万本とも言われている曼珠沙華が自生しているの。これは日本最大級の本数よ。開花時となると、まさに紅い絨毯と言う表現が合うわね。
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