10人が本棚に入れています
本棚に追加
♪
王立学園、アルスタリア。
義務教育の初等部から中等部に加え、高等部、大学制度、研究院などもある。
ユグドラの東側のほとんどを占めるこの学園は、その敷地規模もさることながら、学生の数も凄まじい。
学園へ向かう竜車定期便に乗って一時間ほどかかる[白猫亭]にも、授業が終わった頃には学生が多く訪れる。
他都市から訪れている学園生徒は寮生活になるが、都市内に住んでいるのなら、自宅から通うことも認められている。
その正門、精巧な美術品のような装飾で彩られた門扉の前に立ち、ユーリ達は門を見上げた。
「うわぁ、すごいねぇ」
「……う、うん」
この街に住んで三年になるが、この区画に訪れることはあまりなく、遠くから眺めていただけで、こうして目の前に立つと、その存在感は圧巻だった。
「って、こうしてる場合じゃないか。
そろそろ時間になっちゃう」
ユーリが懐中時計を見て、しかし焦った様子も無く歩き出す。
最初のコメントを投稿しよう!