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立っている警備兵に近付くと、そちらもユーリ達に気付いて、一度突き出した左の拳を右胸に当てた。
右手に槍を持っているのが常の警備兵が行う一般的な敬礼だ。
「おはようございます!
こちらは王立学園アルスタリア、南正門となります!
何かご用でございましょうか!」
まだ二十代に見える彼は大きくハキハキとした声で、緊張気味にユーリ達に問う。
軍部に入って最初の仕事は警備兵だと聞くあたり、彼は最近に配属されたのかもしれない。
それに今日は中等部の入学式でもある。
若い警備兵の彼が緊張で固くなるのも無理はない。
「本日、御学園に入学いたします、エウロディアの母、ユーリ=フォルセウスと申します。
学園長より式典前に訪ねるよう仰せつかったので参りました。
これがその案内状です」
ユーリは警備兵に礼をして、
羊皮紙を彼に渡した。
彼は羊皮紙の内容を見比べ、
「……ユーリ、フォルセウス…?
まさか、貴女があの……?」
と驚愕の顔で呟いている。
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