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警備兵の視線に内心では溜め息だが、ユーリは苦笑するに留めた。
(……有名になりたくないから、ウィスさんにお願いしたはずなのに、どうしてバレてるかなぁ……。
またお酒の席で言っちゃったのかなぁ)
そんなことを考えていたら、ユーリに見惚れていた彼が、慌てて羊皮紙をユーリに返す。
「し、失礼致しました!
学園長からは来客があると伺っておりましたので、どうぞ、お通りください!」
視線から解放され、ユーリは安堵しつつ、
「ありがとうございます。
エウル、行こうか」
「うんっ」
エウルの手を引いて学園に入っていった。
彼女達が行ったあとを目で追い、
「まさか、白銀の月姫が、
あんな可憐な方だったなんて…」
と警備兵が独り言を漏らした。
♪
外観もそうだったが、学園の建物内部もまた、荘厳だった。
造りこそシンプルなものの、だからこその様式美がある。
清掃も隅々まで行き届いるようで、汚れらしい汚れも無く、何百年も続く学園のはずなのに、すべてが真新しく映る。
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