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これから通う学び舎に興味津々というように、エウルがキョロキョロとしていた。
「ほら、エウル。行くよ」
「あ、うん!」
ユーリが呼ぶと、小走りに近付いてきて、彼女の手を握った。
♪
校内の案内板を確認し、ユーリ達は学園長執務室に向かった。
二人は特殊な事情から変則的に入学するため、説明や注意事項を学園長から受ける。
それは彼女達の事情を知る人が、学園長以外にいないのも理由の一つだ。
ユーリは執務室の扉をノックし、作法通り返事を待つと、失礼します、と一礼をしてから、同じ動きをしていたエウルと一緒に中へと入った。
室内はそう広くはない。
左右には本棚が並び、部屋の中央には大きな机が鎮座している。
「そう堅くならんでいいよ。
と、私が言おうとも、君達は礼儀を忘れはしないのだろうがね」
そこに座っているのは、まだ若く見える、美しい女性だった。
とは言え、彼女は長命種で、外見と実際の年齢は一致していない。
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