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空には満天の星。
今にも振ってきそうなほど、キラキラと輝いている。
手を伸ばせば届きそうだ、とユーリ=フォルセウスは思った。
整った顔立ちに、赤い大きな瞳。
長く艶やかな銀髪が、星の光を受けて優しく輝いている。
その胸元にも、星々と同じ光を放つ欠片があり、それを優しく両手で包む姿は、まるで祈りを捧げているように神聖で、一つの芸術作品のように美しかった。
『ユーリ、始めるよ。おいで』
ユーリの後方から、まだあどけなさの残る少女が、ゆったりとした声で彼女を手招きする。
それは姿形に比べ、老成した所作。
けれど、その表情は優しく微笑んでいて、ユーリの不安を和らげた。
「ユグ様……、大丈夫、でしょうか?」
それでもまだ不安気なユーリの声が、外であるはずなのに、その場所に反響した。
『こればかりはね、私にもわからない。
そのコの声が聞こえるのは君だけだ』
ユグと呼ばれた少女は、ユーリの胸元の欠片に、彼女の両手ごと触れる。
『このコは、何と願った?』
ユグの言葉に、ユーリは目を閉じて思う。
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