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「エウル、エウロディア!
朝だよ、起きて!」
街が騒がしくなってきたものの、まだ人影も少ない商店街の一角。
[白猫亭]にユーリの声が響く。
いつもなら時間通りに起きてくるはずの娘が珍しく寝坊していた。
彼女は昨夜、かなりハシャいでいたから無理もないのだけれど。
「もう、今日から学校に行けるって、昨日はあんなに騒いでたのに……」
ここ三年で独り言が増えたのを自覚して、しかしユーリはひとりごちた。
朝食の準備も終わり、窓から外を見ると、空は眩しいほどに快晴で、レンガ造りの街並みに鮮やかに色を与えていた。
開店の準備をしようとして、今日は臨時休業にすることを思い出し
れというのは凄いとユーリは思った。
三年前にここに来た時には、右も左もわからずにとても苦労した記憶も、今は笑い話に変わっている。
いろんな人に支えられてきたんだなぁ、とユーリは朝日の照らす街に感謝を捧げた。
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