本編

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おおかみ(M) 「こんなことになるなんてことは、ずっと分かっていたことだった。だけど、ずっと目を逸らして、きっといつかは、僕らにとってやさしい世界に変わるって信じてた。その時を待っていた。けれど、現実はこんなにも残酷で、こんなにも…」 ーあるお家ー おかあさん 「じゃあ、気を付けていってくるのよ」 赤ずきん 「はーい!いってきまーす」 赤ずきん(M) 「わたしは赤ずきん。今日はお天気もいいし、久しぶりにおばあちゃんのお家に木苺を届けにいくの。おばあちゃんは体を悪くしてて、大好きなジャムを作れないの。だからわたしが変わりに作ってあげるんだ。おばあちゃん、喜んでくれるかなぁ」 赤ずきん 「ランラランララーン♪」 【道を歩いていくよー】 おおかみ 「スースー」 《寝息》 赤ずきん 「ラーラララーフンフンフーン♪」 おおかみ 「……っ…ん……んん…」 《目を覚ます》 【木の裏から顔を出す】 赤ずきん 「フンフーンラーラララーふふふっ♪」 おおかみ 「……!」 おおかみ(M) 「一目彼女を見て、その瞬間僕は恋に落ちてしまった」 おおかみ(M) 「なんてかわいい子なんだろう…!」 赤ずきん 「風が気持ちいい…。あ、こんにちわ小鳥さん」 小鳥さん 「こんにちわ、赤ずきんちゃん」 おおかみ(M) 「赤……ずきん…?っていうんだ。どこへ行くんだろう」 小鳥さん 「今日はどこへ行くんだい?」 赤ずきん 「あのね、おばあちゃんのお家に行くの。おばあちゃん、体が悪くって…。おばあちゃんのためにジャムを作ってあげるんだぁ」 小鳥さん 「そうかそうか。そりゃあいい」 おおかみ(M) 「体が悪いおばあさんのために…。優しい子なんだ」 赤ずきん 「じゃあね、小鳥さん」 小鳥さん 「ああ。―――あ、赤ずきんちゃん」 赤ずきん 「なぁに?」 小鳥さん 「この辺りにはオオカミが住んでいるんだ。だから、くれぐれも気を付けるんだよ?もし遭遇したら、大きな声を出すんだ。そしたらきっと、猟師が助けに来てくれるからね」 赤ずきん 「………。」 【ちら、とおおかみの方を見る】 おおかみ(M) 「…? 今、僕を見た…?」 赤ずきん 「うん、そうする。ありがとう小鳥さん」 小鳥さん 「いやいや。じゃあ、気を付けてね」 【飛び立つ】
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