どうやら地球は壊れたようだ

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セミが鳴いている。奴ら、今日も朝から絶好調だ。 「…………」 俺は気怠い気分で携帯の画面をタッチした。 画面が明るくなり右上には日付と時間が示されている。 「もうすぐ7時か」 俺は起きるとすぐに風呂に向かった。 暑い…朝からなんて気温なんだよ。 そう思いつつ、俺は新しい制服に袖を通した。 そう、今日は4月2日。 1日が日曜だった関係で、今日が高校の入学式だった。 「本当にごめんね、ひとりで大丈夫?」 このすごく心配そうな表情を浮かべた人は、俺の母親、過保護なところがあって若干迷惑なのだが、そんなことは言わない。 「あぁ、大丈夫だよ、もう子供じゃないんだし、そんなに心配しなくてもいいよ」 「気をつけてね」 「はーい」と言って、俺は朝食を食べずに家を出た。 俺が入学した高校は、小高い丘の上にある、面積だけは無駄に広い学校だ。 そんな場所まで、俺は遥々自転車漕いで、登って行っているわけだ。 ここ数年、日本には……というか、地球には季節というものが無くなった。 いつからか太陽の活動が活発になったらしい、当時は、大きな太陽フレアが発生して、地球は滅んでしまう、みたいな話が流れて、大騒ぎしたみたいだが、実際には小さな太陽フレアが、連続して発生したに過ぎなかった。 だがお陰で、地球磁場がちょっとばかりおかしくなったらしく、地球に存在した季節というものは地球の各地に散らばる形になってしまったようだ。 侵略だ、これは。 太陽が地球を攻撃している。 暑すぎ。
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