どうやら地球は壊れたようだ

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律を追いかけて走ること約1分、駐輪場が見えてきた。 呼吸を落ち着かせるように、深呼吸してから律に聞いてみる。 「お前、まさか俺を誘導してたのか?」 「もちのろんだよ!」 うぜぇ。 「理由もなし走るような律さんじゃないよ、お馬鹿さんだなぁもう」 さらにうぜぇ…。 「自転車に乗れば追い付けたかも知れないのに、乗らないんだもんねぇ」 あぁ、確かに…。 考えもしなかった、なんで走っちまったんだ、俺。 「お前も自転車通学なのか?」 「そうだよ」 律はぐるぐる回りながら答えた。 そんな回ったら目まで回りそうな気がするのだが。 「おぉう、目ぇ回った…」 ほらな…。 「反対に回ったら、治るって聞いたことあるぞ」 駐輪場の端に、自転車を停めながら律に言ってみた。 前にテレビでやってたが、俺は治らなかった…デマなんだろう。 それを本気にしたらしい、さっきとは逆方向にぐるぐる回りだした。 いや、無理だって…。 「治った!!!」 ピタッと止まって律が叫んだ。 「そうか、よかったな」 「うん!ありがと」 ニコニコしながら礼を言ってきた。 実際には効果がないのに、思い込みで起こる変化…なんと言ったか…。 プラシーボ…だったか? 確か、そんな名前だった気がする。
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