第一章

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学校で先生が「今日の授業では自分の将来の夢を作文に書きましょう」と言ったので、僕は書いた。 タイトルはこう。自由の国へ行きたい。 その作文は僕は将来、自由の国へ行きたいです――、こういう書き出しで始まる。 書いた作文をクラスで発表していたら、先生は途中で僕の発表を停止させて「比々野くん、この作文は将来、自分がしたいことを書くのよ?」と、言ってきた。 僕が「はい、書いています」と言うと、その後に先生は何も言わなかったが、その日の放課後、僕のお母さんに電話して作文のことを伝えたらしい。 それは家に帰ってきた僕に、お母さんが先生の言ったことを聞かせてくれたことからわかった。 どうやら先生は「比々野くんも来年は中学生になるんですから」というようなことを言っていたらしい。 先生はどうやら僕の将来の夢が、気に入らないようだった。 僕の書いた作文が他の人とは全然違うことはわかっていた。他の人は警察官になりたいとか、サッカー選手とか、ケーキ屋さんとかだった。 先生はそれらには理解を示しても、僕の将来の夢は
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