第一章

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でも、これが僕の将来の夢なんだ。 だから、僕は自由の国へ行きたいと書いたんだ。 きっと自由の国でなら、作文には好きに将来の夢を書くことが出来ることだろう。 将来の夢は雲になりたい、不老不死になりたい、魚と一緒に泳ぎたい、風になりたい、こんなことも全部。 僕が、自由の国へ思いを巡らしているのを落ち込んでいると思ったのか、お母さんは僕を抱き締めて頭を撫でてくれた。 僕が大好きな、優しい匂いがした。 「落ち込まないでいいのよ、雄太。雄太の将来の夢なんだからお母さんは応援するからね」 「うん、ありがとう」 「自由の国、きっと何処かにあるよ」 きっとじゃない。 必ず何処かにあるんだ、お母さんはわかっていないな。
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