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「ごめんなさい、……そうね。きっとあるよ自由の国」
また、きっと、と言った。
僕はもうその台詞に言い返すことはしなかった。
「……ごちそうさま」
「まだ、ご飯残ってるわよ。雄太」
「もうお腹いっぱいなんだ」
そう言って僕は自分の部屋へ向かった。
お母さんの呼び止める声がしたが無視をした。
居間から廊下に出て、左に少し進み、曲がったところが僕の部屋だ。
部屋の扉を開けて、ベッドに飛び込んで寝転がって考えた。
どうしてお母さんは自由の国の存在に確信を持てないのだろう。
絶対にあるのに。
さっきの状況を思い出す。
自由の国の話のこと、自由の国の存在の話のこと、そして、ご飯を残してしまったこと。
……お母さんの料理を残して悪かったな。
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