プロローグ

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【探偵(たんてい)】 調査業者の一種。他人の秘密を密かに調査したり、罪を犯した者を突き止めたりする者、またはその行為である。 「ふああぁ~。っと、今日もいい朝だな。よし」 よく晴れた朝、建物の前で欠伸をしながら体を軽く動かしている男がいた。後方にある建物――大森探偵事務所の所長であり、探偵の大森賢助だ。 彼の1日はラジオ体操から始まる。小さい頃からの日課で、ほとんど欠かしたことがない。 「大森さん、おはようございます。今日もいい天気ですねぇ」 「おやおや長田さん、おはようございます。いやーホントにいい天気ですね」 近所の長田は老婆で、賢助とは古くからの付き合い。時々自家製野菜を持ってきてくれる。 「じゃあね、私ゃ行くから」 「あいよ、行ってらっしゃい」 彼女の日課の散歩を見送ると、彼はラジカセの電源を入れた。 「さて、やるか」 いつもと変わらない1日の始まり。だが彼の心中にはなんとも言えない思いがあった。
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