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世界は今や不況の並みに飲まれている。大学を卒業してもパートやアルバイト、派遣業務で生計を立てていたり失業している人も珍しくない就職難の時代。
「また落ちたよ……」
佐倉ハナ、彼女もそんな人だ。
もうすぐ大学卒業を控えているが、いまだに就職先が決まっていない。彼女みたいな人は他にもいるが、そんなに多くない。
「また落ちたの~?」
「うるさいなー加奈子ぉ。もうこれで70社だよ。私もう嫌よぉ」
友人の加奈子は既に内定済みで、ハナに追い打ちをかけるよう。
「ん~……このままだとやっぱりバイト生活になっちゃうのかな」
だが、ちゃんと生活できればそれも悪くないかも。気が滅入りそうだがポジティブに考えることにした。
今日は久しぶりに講義がない日。ハナと加奈子は気分転換に隣町に来ていた。
「んーいい天気!こんなまったりした日が続いたらなぁ」
「だね。ねぇ、いいランチのお店見つけたんだけど、もうすぐお昼でしょ。行かない?」
「いいね!案内して!」
加奈子は店の地図を出した。店までの道のりにはたくさんの発見があり、寄り道しながら向かっていた。着いたときには既に正午過ぎていたが程よく空いていてのんびりできた。
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