0人が本棚に入れています
本棚に追加
毎日、同じ時刻、同じバスに乗り合わせる女の子がいる。彼女は必ず最後尾の座席の窓際に座り、ただじっと、窓の外を見つめている。
近くの高校に通う、加藤 駿は、通学の都合上、必ず彼女と乗り合わせることになるのだ。
初めはただなにも考えずに、ただチラチラと彼女を意識するだけだった。
それが少しずつ、少しずつ、彼女を見つめるようになっていた。
そう、彼女が窓から空を見つめるように。
加藤駿が降りるバス停の前から二番目のバス停、その場所に彼女は降りる。
ゆっくり、ゆっくりと、何か、白い棒を、トントンと床に叩きながら、ゆっくり、ゆっくりと。
きっと彼女は、目が見えないのだ。
バスの中で奏でる音は
最初のコメントを投稿しよう!