プロローグ

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 先程まで風など吹いていなかったのに突然風が吹く。  一つの影が通り過ぎる、目では捉えきれない速さで動く影は少女と男の間に割り込み男は吹き飛ばされた。  影の正体は少年だった。  ボサボサな髪は黒、白、茶の色が適度に染まっている。  少女と同じ学校の生徒と思われる少年は漆黒のようなブレザーの袖口には手は通さずに前のボタンは全部外されており羽織るように着ている。 「大丈夫か?」  背中越しに少年はそう言った。  少女はコクンと頷き少年のブレザーの裾を強く引っ張った。 「勝手に何処かに行くなよ。探すのだるいからな」  もう一度少女は裾を強く引っ張った。  少女は話す事は出来ない事を少年は解っているだから裾を強く引っ張る事は大丈夫という合図だ。
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