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葵の両親は葵が小さい頃に他界していた。
その日から20歳になる兄とずっと二人で両親の残した本屋を切り盛りして生活していたのだ。
そして3ヶ月前兄は突然行方不明になった。
3ヶ月間何も情報は出てこなかった。
妹が何の情報も掴めなかったと言うのに、この亀は居場所を知っていると言うのだ。
本当だろうか?信じていいのだろうか?
「ワンッ」
横にいたゴールデンレトリバーが吠えた。
そうだ。こんな得たいの知れない亀の言葉に惑わされるほど兄に会いたかった。
何故なら14歳まで葵を育ててくれたお兄ちゃんにお礼がしたかったから。
だからお兄ちゃんに会えるなら藁にでも、動物にでもすがりたいほどだった。
お兄ちゃんには苦労させたから。
この亀を信じてお兄ちゃんについて教えてもらおう。
お兄ちゃんに会うためならなんだってできる気がした。
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