ナグティ・アンサンブル

2/21
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
 ラッドサンド大陸にある監獄島には、夏と冬に、流星群を眺める祭りがある。  星祭りと俗に呼ばれる催しには、大陸から厳選された人々が島へ訪れる。  それは、毎年決められた人数を歓迎する設備しか整っていないことと、監獄島に住まう神様を世に広めないための対策であった。  今年の冬も、星祭りの時期に差し掛かり、監獄島に設えてある警備隊も住民もその準備に追われていた。  それは、神様と呼ばれる黄髪黄眼の青年が隊長として君臨する第一等星警備警察隊でも同じで連日徹夜の掃除作業が行われている。  掃除など掃除屋に任せるべきなのだが、第一等星の業務費は隊長が遣う借金に捕られて底を付いている。仕方なしに、事務所周辺の掃除を警備隊の面々でこなすも今度は人手が足りない有り様だった。  監獄島にある警備警察隊は管轄で切り盛りしており、催しの際には環境整備の意味も兼ねて大掃除が執り行われる。  その一抹の中で、欠伸を噛み締めた円眼鏡の人間は、仕切りにこの世界の通信器具の画面を気にする。 「スピカ副、洗濯終わったよ」  事務所の中庭で掃除の手を止めるスピカにアスカが、要件を告げた。 「お疲れ様です。こっちもそろそろ終わります。お昼ご飯にしませんか?」
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!