派閥と琥珀【中】

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『まさか彼がそんな配慮をして下さっていたとは…』 土方の粋な計らいに、胸がじん…と熱くなる。 二人が消えて行った方向とは逆へ、ゆっくりと歩き出す。 己の勝手な思い違いから責め立ててしまった芹沢にも、罪悪感を感じる。 後でちゃんと謝罪と御礼をしなければ─────と思ったのも束の間、 あれ?と矛盾点に気が付く。 『…では、預かった筈の土方さんのお金は何処へ─────?』 「!!?」 バッ…と急いで振り返るが当前の如く、土方の金と共に、とうに去ってしまった相手の姿などそこにある筈も無く────── 「……してやられました…」 その場でガックリと肩を落とす。 もとより芹沢は、代金を支払う気などこれっぽっちも無かったのだ。 外へと連れ出してくれた事には感謝すべきだが、土方の金をくすねるとは…… 「あの方に謝罪の言葉は必要ありませんね。」 小さな怒りと共に、踵を返し再び歩き出す。
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