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「・・・て」
体が冷たい。友哉は、ゆっくりと目を開ける。しかしまだ完全に意識は戻っていなかった。
「・・・きてってば」
(誰、だ…?)
誰かの声が聞こえる。まだぼんやりとした頭で、なんとか声を聞き取ろうとする。
「起きなさい!!」
「うあっ!?」
目を開けると、先ほどの水浴びをして襲いかかってきた少女がいた。
まだ、頭がズキズキと痛む…あの踵落としを食らって、よく無事だったと自分をほめる。
「き、気絶しちゃうんだもん。驚いたわ」
「っつ…そう思うんだったら、あんなことするなよ…」
友哉は、びしょ濡れの体をゆっくりと起こす。
「だ、だって。あんたが、変態だと思って、その…」
少女は、申し訳なさそうに声が次第に小さくなっていく。
「はぁぁ…まぁ、俺も悪かった」
「ふ、フン!そ、そうよ!あんたのほうが悪いんだからね!」
火球を投げつけた挙句、踵落としを食らわせておいてよくそんな台詞が言えるなと思った。
「そういえば、君はヴェルヘルス学園の生徒さんか?」
友哉は、立ち上がり聞く。
「ええ、そうよ。ヴェルヘルス学園、1年D組ヴェ、あ、エルスフィール・デュオ・クレアよ」
「一条 友哉だ。う~んと、クレア、でいいか?」
「ええ。まぁ、いいわ」
エルスフィール?そんな、貴族はあっただろうか?
友哉は不審に思いながらも、切り出した。
「すまないんだが、俺を学園まで案内してもらえないか?」
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