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コンコン、ガラッ。
ノックして職員室の中に入る。
「失礼します」
やはり朝早いので、職員室にいる教師達は少なく、眠たそうだ。
芹は窓際にいる老齢の眼鏡をかけた教師の側に寄っていった。
「お久しぶりです、加藤先生」
加藤と呼ばれた教師は、眠たそうな目をしばたかせ笑顔を浮かべた。
「おぉ、久しぶりだな、東。 そうか、もう一年も経ったのか…… どうだった、アメリカは?」
「はい、ホームステイ先の家族も良くしてくれて、日常会話英語の理解が更に深まりました。とても良い経験でしたよ」
芹は加藤の問いに薄い笑いを浮かべる。
「それは良かった。 いや、成績優秀なお前がいきなり留学希望の書類を提出した時には驚いたが、良い経験ができたならなによりだよ」
と、言ったところで加藤が言いにくそうに切りだした。
「ところで留年の件だが、お前は文系クラスだし、2年1組に在籍する事になった」
「1組ですか、わかりました」
芹は加藤から2年生の名簿表を受けとる。
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