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もうすぐ発車しますというアナウンスが駅構内に響きました。
それをきいて僕はうろたえます。
そんな僕を見ておかしかったのか、ユウナは少し笑うと言いました。
ユウナ「じゅん、とりあえず一度帰っておいでよ。アパートもそのままでしょ。」
じゅん「あ、あぁ。」
ユウナ「…………待ってるから……」
そう言うと白く柔らかいユウナの手が頬に触れて、そして離れた。
ユウナ「……あのね、アタシこの前彼氏と別れたんだ。」
じゅん「え!?」
ユウナの手の感触が気持ちよすぎて、ボーッとしていたところにいきなりの不意打ち。
硬直してしまった僕にユウナイタズラっぽく、あっかんべーをして奥の通路に消えてしまった。
じゅん「あっ、ちょっ、ちょっと待てよ!」
慌てて追いかけたい衝動に刈られましたが、財布のことを思いだしなんとかその場に踏みとどまります。
しばらく固まっていると、ドアが閉まり、低く唸るような機械の音と共に電車は動き出しました。
去っていく電車の窓から必死でユウナを探しましたが、見つからない。
そして電車は夜の闇の中にライトの残像だけを残して消えてしまった。
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