入学式

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俺が文房具店にて購入した、ピケモンのコロコロ鉛筆(三本入りで、税込250円)には、何の魔力も力もない、ただの鉛筆。 これで確実に落ちたはず。 内心、ほくそ笑みながら家が近くなのでスキップしながら帰った。 『自宅警備員』という甘美なる言葉の響きが帰り道の頭の中でループしていたのを今でも覚えいる。 これからは、毎日昼まで寝て、1日ずっとゴロゴロして過ごそう。 1週間後… 「安藤!おめでとう、アルティス魔導学園に合格だ!」 …えっ!? …What?… 当日に面倒なので結果を見に行かなかった次の日に、担任が踊るように話しかけてきた。 だって、落ちたことを確認するためにわざわざ学園まで行く奴の気が知れない。 結局、当日も起きてからずっと、炬燵の中にいたのは当たり前だが。 だってさ、クソ寒い中、結果を見に行って、それで落ちてたらどうする? 自慢じゃないが、俺の豆腐メンタルでは攻撃を受けきることはできないね。 それに、受かった奴等の喜びのハグやらジャンプやらを見てでもしてみろ。 乱入して雰囲気ブチ壊してしまうのは必須。 いるよね、受験会場で、自分の名前が張り出されてるからって、周りに気を使わずに家族、友人で抱き合っちゃったりしてる人。 あれはマジで迷惑なんでやめてもらえます?(笑) 恐る恐るテストの結果を見ると、鉛筆コロコロが凄まじい力を発揮し、また、合格者の入学辞退等という奇跡が重なり、繰り上がり合格をしている。 受かってしまったものはしょうがないので、やむ無く俺はアルティス魔導学園に通うことに。 しかし、まさか、初日から遅刻しようものとは。 省エネ主義の俺が走るなんて滅多にないぞ。 運動会ですら、動かない綱引き(綱を持つが、引くとは言ってない)しか出たことないのに。 あれだな……綱引きは綱を持って、表情辛くするのがポイントだ。 いかにも「やってますよ!」感を出すのが重要。 話は逸れたが幸い、アルティス魔導学園は家から近いのでなんとか間に合いそうだ。 次々と角を曲がって、走っていると、巨大な門が見えた。
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