程遠い穏やかな生活

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屋上から立ち去る女子生徒を見送り、僕も帰ることにした。 屋上を出る扉を開け、階段をおりようとすると階段の踊場に小さな影があった。 僕は、またか… と思いつつその影に近づいた。 「おい、恵美」 そう呼ぶと影…もとい僕の妹恵美はびくっと一瞬体を震わせ、 「や、やぁ~…お兄ちゃん」 と顔を見せずに震えた声を発した。 顔は見なくても、僕にはわかった。 恵美は、泣いていた。 「あのな、恵美… なんでお前は僕が告白されるたびに泣いているんだ?」 僕は、そう言った後に少し後悔した。 …そうだった コイツは、ブラコンだった! そう思いつき、補正の言葉を発しようとした時… 「お兄ちゃんの…バカァー」 泣きながら恵美が僕に飛び付いてきた。 「なんで、泣いているかって、そんなの決まってるよ!お兄ちゃんが誰か女の子の物になっちゃったら…恵美…恵美…」 恵美は、そう言うと僕の胸辺りに顔をうずめて泣いた。 恵美が泣いている間はどうしようもないから僕は、そっと恵美を抱きしめて 「恵美、心配するな…僕はどこにも行かないよ…」 と言い恵美を宥めた。 僕がこう恵美に甘いから恵美かブラコンになってしまったんだとつくづく思う。 兄離れさせないとな~ と考えていると、恵美はようやく落ち着いたようだ。 目は真っ赤に充血し、鼻水まで垂れている。 「鼻水まで垂らせて…せっかくの可愛い顔が台無しだぞ」 そう言いながら、僕はハンカチで恵美の顔を綺麗に拭いてやった。 恵美は 「可愛い…お兄ちゃんが…恵美のことを可愛いって…」 と頬を桜色に染めながら何やらぶつぶつ言っていたがよく聞こえなかったので、抱きしめていた恵美の顔に僕の顔を近づけ 「恵美?なんて?」 と聞いてみた。
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