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翌朝。
日が昇るとともに、木から木へと跳び移る影が見えた。
猿のように、とは言えず。木を蹴って次の木に移るという、アクロバットな動きをしている。
かなり森の深くまで来たところで、跳んでいた人物は木の上で止まり、体を安定させた。
「こっからは狩猟地区だ、人がほとんどいないから気をつけるようにね」
周りを見渡しながら注意する。しばらく沈黙してみたのだが
白衣の青年ユリウスは、待っても返ってこない声に、不安を感じて振り返ってみた。
「フィンリー?」
ついさっきまで、自分の後ろをついて来ていたはずの少年がいない
ユリウスは慌てて引き返そうと足に力を入れるが
「ユウ兄」
「え、あ、フィンリーいたのか」
小さな体で、器用に枝に乗るフィンリーが、ユリウスの目の前にある木の上に下りた。
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