第一章 平和な暮らし

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72番目の村。 山の麓にあるこの村は、中心からかなり外れているため、開拓等にはあまり関わっておらず 住んでいる村人も、毎日を平和に過ごしていた。 村から少し離れた場所には大きな木があり、木々が広がる森の中でも目立っていた。 木の上には、枝に背中を預けるように器用に座る少年が一人 朝日が昇るのを確認すると、組んでいた腕をほどき 「……日が昇った」 黒いツンツン頭、フードのある白い長袖に、紺色の短パンを履いた 四歳の少年は、ニコッと笑い枝の上に立つ。 「準備は出来たし、あとは…」 「フィンリー!」 少女の声が下から少年の耳に響いてくる。 突然のことに、少年はバランスを崩しかけるが なんとか枝に掴まり、落ちるのだけは防いだ。
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