第一章 平和な暮らし

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そんなフィオナが大好きなフィンリーは、愚痴を言いながらも フィオナのことを嫌いにはならないのだ。 手を繋ぎ、村へと帰る姿は 村人にとっては、平和である証でもあった。 そんな微笑ましい光景を見ながら、村の大人たちは仕事を始める。 「おはようフィオナちゃん」 「おはようございます。おばさん、昨日はありがとうございました」 「いいのよ、畑の野菜ならいくらでも分けてあげるから」 「本当にすみません、ほらフィーもお礼を言って」 フィオナの後ろに隠れるように立つフィンリーは ヒョコッと顔を出し、小さく会釈する。 「フィンリー」 「いいのよ、フィンリー君も身体に気をつけてね」 「……」 返事は無いが、それでも怒ったり不快な気分になったりはしない 子供がほとんどいないこの村で フィンリーとフィオナは、まさに村の希望とも言えるのだ。
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