第一章 平和な暮らし

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村の人に声をかけられては、丁寧に返すフィオナ 反対にフィンリーは一言も話さないのだが 村の人にとっては、それもまた微笑ましい光景なのだ。 そんな村の天使たちが向かったのは、少し外れた位置にある高台の上 小さな掘っ立て小屋だ 「フィオナ、フィンリー」 小屋の前には、黒い髪を後ろで縛る二十歳の男性が、斧を片手に持ち、立っていた。 白衣とマントを纏い、両手には手甲を付けている ユリウス フィオナとフィンリーの育ての親であり、師でもある人 「ただいま帰りました。マスター」 「おかえりフィオナ、フィンリー」 「聞いてくださいよ、フィーったらまたあの木に登ってたんですよ」 「ハハ、フィンリーは本当に高いところが好きなんだな」 ユリウスは斧を置き、フィオナの体に隠れるフィンリーの頭を撫でる。
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