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恭一は長谷川を座らせる。左のサイドスローである恭一は自分自身大した投手ではない事を自覚していた。
県大会で140キロを出す強豪校のエースなどを見る度、自分の力の無さをまざまざと感じたものだ。それでもここまでこれたのはコントロールがずば抜けていたからだと恭一は思っている。
元々出雲農林のエースは恭一ではなく沢口だった。しかし去年の秋の大会直前、沢口が肩の故障で離脱したため十一人しかいないチームの控え投手だった恭一にお鉢が回ってきた。
沢口の代役の恭一だったが、仲間や周囲の人間の予想を大いに裏切った。県大会では何年か振りに一回戦を突破しただけではなく、なんと準々決勝まで勝ち進んだのだった。
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