異世界フラグメント

拓人逝きます！

その俺が持っているこのギターは自宅の倉庫に封印されていたものである。

発見当初は埃とカビのような古臭い匂いで悲惨なことになっていたが、
俺の必死の処置によりどうにか使用出来るぐらいにはなった。

ギターは紺色を基調とし、木目がワイルドに刻まれているレスポールである。

以前、メーカーの名前を探してみたんだが、ギターにはどこにも文字は書かれていなかった。

そんなギターでも気に入っていて、添い寝をしたり、服をきせたり、とまではいかないが、
いつでもどこでも肌身離さず持ち歩いている。

ところでこのバンドは上手いかって？

……聞くな
………いや聞かないで下さい

まぁたまにドラムのスティックが飛んできたりミストーンが四方から聞こえてくるだけだしね…

…うん、
ごめんただの下手くそです

言い訳させてもらうと、このバンドはモテるためにバンドを始めた人で形成されているのだ。
そのため初心者が多く、人に聴かせられるレベルではない。

そこで秋に開催される文化祭までに何とか上達しようと、夏休みを使って必死に練習しているわけだ。