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解散をした後、俺とカズは帰る方向が同じため一緒に帰宅していた。
「ところで拓人~、夏休み前にHRで渡された進路調査の紙は何て書いて出した?」
家まで後半分というところでカズが不意に尋ねてきた。
「あぁあれか、適当にサラリーマンって書いといて出した。
あんなの適当でいいんだよ」
「マジで?プロミュージシャンじゃないの?」
俺はまさかと思い、カズに恐る恐る聞いた。
「カズお前プロミュージシャンってあの紙に書いたのか!?」
「もちろんマジ!!」
…お前その語尾無理あるわ。
「お前なぁ、音楽だけで食っていくなんて出来るわけないだろう。
才能がある奴しかプロになんてなれねえよ。
なれたとしても、音楽一筋で生きていけるのなんて一握りの人間だけさ。」
俺は呆れながら答えた。
「何だよー、拓人は冷たいなぁ。
やって見なきゃ分かんねぇだろぅよ」
カズはそう言うが、
俺はそんな夢のような事は考えられない。
今日の俺はいつもに増してネガティブモードだった。
今日の演奏といい、色々と現実を突きつけられたからである。
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