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「どの指にする?」
「くすりゆび。」
「そこ、はめたらもう逃げられないからね。莉子。」
「あたしが諒を離さない。」
「ハハッ。頼もしー。」
諒はあたしの左手を取ると、手の甲にチュッとキスをした。
そして、顔をくしゃくしゃにして笑った。
青い石のついた指環が、ゆっくりとあたしの薬指を滑ってきて
………第二関節で止まった。
「…げっ、入んないし。
莉子太った!?」
「ひどっ!」
「………。」
無理やり薬指にはめようと、ぐりぐりとされる。
「…痛い。」
痛みを訴えると諒は手を止めて、あたしの顔をじーっと見た。
「…んー…。
じゃ、他の指で…」
「いや、作り直してよ。
おカネ、持ってんでしょ。」
「アホか。
物は大事にしろって。」
「だってーっ!」
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