第一章 恋のはじまり

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第一章 恋のはじまり

ふわり。 桜が舞い散る、春の訪れ。 そして、入学式の日。 ある者は、友達とクラスが同じだったと喜び、またある者は、違うかったと落胆する日。 また、新しい学校に足を踏み入れる者。 そんな日の学校は、一際賑やかだ。 そんな中、女子から黄色い声が上がる。 彼女たちの視線の先には、お決まり、イケメンが居た。 彼の隣には女の子が居るのだが、騒ぐ女子たちの目には映っていないようだ。 ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ ∮ はぁ。 私は、何度目かわからないため息を吐く。 「…涼哉にぃ」 「なんだい?劉華」 さっきから女子たちの視線を一心に受けているのは、私のお兄ちゃん。 厳密には、従兄なんだけど、事情があって、〈お兄ちゃん〉として、一緒に住んでる。 今年、私が高校生になったことで、同じ学校に通うことになったんだ。 で、初日から迷子になったら最悪だから、学校まで一緒に来た訳なんだけど。涼哉にぃ、昔からモテること、すっかり忘れてた。 私と涼哉にぃは、半分しか血が繋がっていないのに、かなり顔が似ている。本当の兄妹に間違われるくらい。 確かに、自分でもなんとなく似てるなって思うんだけど、でも、決定的に違うことがあるの。 それは、涼哉にぃはモテるのに、私がモテないってこと。 何が違うのか、わかんないんだ。だからこそ、涼哉にぃがモテるとこなんて、見たく無かったんだけど。相変わらず、よくモテるんだなぁ、涼哉にぃ。 これで彼女いないんだから、おかしな話だよね…。
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