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第一章 恋のはじまり
ふわり。
桜が舞い散る、春の訪れ。
そして、入学式の日。
ある者は、友達とクラスが同じだったと喜び、またある者は、違うかったと落胆する日。
また、新しい学校に足を踏み入れる者。
そんな日の学校は、一際賑やかだ。
そんな中、女子から黄色い声が上がる。
彼女たちの視線の先には、お決まり、イケメンが居た。
彼の隣には女の子が居るのだが、騒ぐ女子たちの目には映っていないようだ。
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はぁ。
私は、何度目かわからないため息を吐く。
「…涼哉にぃ」
「なんだい?劉華」
さっきから女子たちの視線を一心に受けているのは、私のお兄ちゃん。
厳密には、従兄なんだけど、事情があって、〈お兄ちゃん〉として、一緒に住んでる。
今年、私が高校生になったことで、同じ学校に通うことになったんだ。
で、初日から迷子になったら最悪だから、学校まで一緒に来た訳なんだけど。涼哉にぃ、昔からモテること、すっかり忘れてた。
私と涼哉にぃは、半分しか血が繋がっていないのに、かなり顔が似ている。本当の兄妹に間違われるくらい。
確かに、自分でもなんとなく似てるなって思うんだけど、でも、決定的に違うことがあるの。
それは、涼哉にぃはモテるのに、私がモテないってこと。
何が違うのか、わかんないんだ。だからこそ、涼哉にぃがモテるとこなんて、見たく無かったんだけど。相変わらず、よくモテるんだなぁ、涼哉にぃ。
これで彼女いないんだから、おかしな話だよね…。
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