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「…劉華?」
「あっ、ゴメンね、涼哉にぃ」
考えごとしてたから、涼哉にぃが話かけてくれてること、気がつかなかった…。
「劉華、入学式始まるから、一緒に行こうか」
にっこり。と柔らかい笑みを浮かべる涼哉にぃの提案に、頷きそうになってから。はた。と気がつく。
「涼哉にぃ、先生もいっぱいいるから、私、一人で大丈夫だよ?
友達のとこ、いかなくていーの?」
「あぁ…。妹が入学するから付き添うって、事前に言ってあるから、大丈夫だよ。
さ、いこう?」
涼哉にぃは、優しい。
〈お兄ちゃん〉になる前から、いっつも私に優しくしてくれる。とっても嬉しいけど。でも。
「駄目だよ、涼哉にぃ!
私なんかより、自分のお友達と遊んで?
私といたら、きっと退屈しちゃう」
言っておかなくちゃ、きっと涼哉にぃは、私に構って、自分がしたいこと、我慢する。
そんなの、嫌だもん。
「…劉華は優しいね。
じゃあ、終わったら迎えに行くから。
…一緒に帰るよね?」
「うん。
お母さんにも、涼哉にぃと帰って来いって言われてるもんね」
お母さんもお父さんも、仕事が忙しいから、入学式には来ない。
二人とも心配性だから、行き帰りは涼哉にぃと一緒にしなさいって言うんだ。
涼哉にぃと一緒に居るのは、楽しいから、好きなんだけど、 涼哉にぃに迷惑かけたくないから、慣れたら友達と帰るつもり。
「涼哉にぃ、またね!」
「うん。また後でね」
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