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『ジリリリリン!』
携帯電話からのアラームがいつも朝と時間を正確に告げる。
毎日の始まりの合図だ。
大矢はすぐにアラームを止め、上体を起こし、あくびをして眠気眼を擦った。
適度に整頓された部屋。大矢はベッドから降りると、その足で洗面台へ行き、顔を洗って全ての眠気を落とした。
朝には強い方で、ものの数分で準備を終え、コーヒーとトーストに舌鼓する。
朝は何かと忙しいものだが、彼は数少ない例外だった。
大矢はゆっくりと朝食を済ませると時間を見て、玄関へ向かった。
父も母もまだ夢の中だ。
起こさないように物音に気を付けながら玄関のドアを開け、いつものように仕事場へ向かう。
それでも毎回思う。変わらない日常だと。
たが、今日は少しだけ違うのだ。
現在、6時02分。
12時間後くらいには旅の道を走っていることだろう。
そう思えるだけで足は自然と軽やかになっていた。
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