流れるだけの日常から脱出

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女川は携帯電話を通話状態にすると、井ノ下の声に耳を傾けた。 『もしもし、お疲れー。悪い、今終わった。もう皆集まってる?』 「お疲れ。いや、まだだよ。俺も今帰ったとこ。どれくらいで準備できる?」 『準備はできてるから帰ったらすぐ出れるよ。女川は?』 「うーん、だいたい10分あれば準備できるよ」 『了解、なら・・・・18時くらいに迎えに行くわ』 「へーい、じゃあまた」 電話が切れ、女川は車から出て、早足で家に入り、急いで支度をすると玄関に荷物を置いた。 18時まで時間に余裕はある。女川は帰ってからずっと背後で尻尾を振る犬に目を向ける。 「リオン、散歩に行くか」 リオンと呼ばれた女川家のペットは嬉しそうに尻尾を振り続けていた。
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