流れるだけの日常から脱出

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女川が簡単な散歩から帰ると、家の前に黒の軽自動車が停まっていた。 井ノ下だ。 目が合い、井ノ下は手を挙げ、女川も同じように返した。 そのまま玄関の前まで行き、リオンの足を水で洗い流し、家の中へ消えるが、3秒後には旅行鞄を引っ提げた姿を現した。 女川は荷物を後部座席に放り込み、助手席に座った。 「お待たせしました。とりあえず大矢んとこ向かおうか。多分小谷さん達ももう向かってると思うから」 「了解、じゃあ行きますか」 井ノ下はアクセルを踏み、大矢の家に向けて車を走らせた。 それから20分ほどが経過した。 18時36分、井ノ下の運転する車は大矢の家に到着。 その間に他愛のない話を延々としていたが、駐車場で大矢達3人が立ち話しているところを見つけ、降車して駆け寄って行く。 「お疲れー。悪いね、待たせた」 大矢はすぐに女川達に気付き、返す。 「いいっすよー。じゃあ全員揃ったことだし、行きましょうか」 そして、大矢の車に荷物を押し込むと、彼らは楽しみにしていた旅の道を走り出したのだった。
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