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日曜の午後
「どうなの。仕事の方は?」
キッチンから妻の真理子が雅也に問いかけてきた。
「どうって?」
「あなた、あまり仕事のこと口にしないから心配してるのよ。父からも電話があったわ。」
真理子は紅茶を入れリビングのソファーへ戻ってきた。
「まあまあだよ。」
雅也は紅茶に口を一口つけてそう答えた。
「あなたも疲れているようだしあまり小言を言いたくはないけど周りのことをもっと考えて行動してほしいのよ…。
警察官だって大した相談もせずに辞めてしまったじゃない?
仕事のことをもっと話してほしいのよ。
話してくれないと何を考えているかわからないでしょ?」
「俺は俺なりに考えてやってるんだ。しばらくぶりの休みなんだ。あまりつっかからないでくれ。お義父さんの方は仕事が落ち着いたら挨拶に行こうと思ってる。」
「また勝手に仕事辞めたりしないでよ…。龍平だってどんどん大きくなるんだから。」
雅也は新聞を横に置きそのまま部屋を出ていってしまった。
雅也は大学を中退し警察官の道へと進んだが、真理子は同じ大学で学生時代からのつきあいである。
警察官となり5年目で結婚し現在は千葉県の郊外のマンションで生活を送っている。
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