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「ちょっと、待てよ」
後ろから工藤君が追いかけてくる。
なんでこんなことをしてしまったのか、わからないから困ってしまう。
でも、工藤君が飲んでいたジュースを他の女の子が飲むなんて、どうしてもイヤだった。
「待てって」
自転車置き場のところで、工藤君に掴まってしまった。
そして、そのままギュッと抱きしめられて……
工藤君と私の鼓動が重なる。
走ったから、すっごく速い鼓動。
息も整っていないのに、工藤君は大きな声で言った。
「泉さんっ。俺、すっげー嬉しい!!」
工藤君はそう言って、もっと強く、強く抱きしめた。
私は、それが心地よくて、工藤君の胸の中で頷いていた。
私……
工藤君のことが、好き?
なんだよね?
爽ちゃんのことを想うとキュンっと胸の奥が痛くなるように、工藤君のことを想うと胸の奥がキュンと音を立てる。
この痛みが、新しい恋の始まりなのか、今はまだハッキリとしていないけれど、この心地よさは初めての感覚で、離れたくないって思った。
…… 完 ……
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