Episode 0 〔空白の迷い猫〕

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―――………ろ…… 「―――」 「起きろ、ブランク」 「―――」 一人の女性の声が暗闇の中で聞こえ、ブランクは顔を向ける そこには赤い髪を濡らし、タオルで髪を拭くシセルの姿だった 服は相変わらずの胸元を大きく開いたコンバットスーツの姿でブランクを見下ろしていた 「早く起きろ、ブランク 今日は【オリジン】の管轄するシティへ物資を届ける手筈の予定だろう? 直ぐに風呂に入って済ませるぞ、いいな?」 「―――」 ブランクはシセルの指示に頷き、ベッドから起き上がって部屋を出た ザァ――― 湯気の立ち上る浴槽の中、ブランクは一人身体の硬直を解していた ―――ハズだったのだが… 「ねぇブランクー、ボディーソープ何処だった?」 「ちょっとさぁ、洗ってる最中に洗面器とらないでよぉサンク」 「いいじゃねぇか、サリー お前頭洗ってる間くらい待ってくれよ」 「ちょっと静かにしてほしいんですが2人共? ただでさえ窮屈な浴槽場なんですから……ひゃあぁっ!! こ、コラッ! アミ!! いきなり後ろから抱き付かないでもらいたいのですけど!?」 「あはは、サリサおっきー いいなーいいなー」 「―――」 只今ブランクは身体を洗い、湯船に入ったその時に彼女らが入ってきたのだ そして立ち往生しているという状態に陥っている 彼女らは無論ブランク自身を男性として認識している しかしブランクには“人間的な感情”は無く、そもそも彼が彼女らを襲うような不届き者でもない 彼からすれば同じ“個体”が自身の居るエリア(部屋)に入ってきたとしか認識していないのだ 彼は任務のみを遂行し、完遂する事にしか動かない事を彼女らは知っている 最も、当初はそれを知らない、またはそうであっても信用できなかった為、当然ブランクはその彼女らから一時期「変態」呼ばわりされていたが 今に至っては彼女らから信用されている ………が、一部例外もいる
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