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―――………ろ……
「―――」
「起きろ、ブランク」
「―――」
一人の女性の声が暗闇の中で聞こえ、ブランクは顔を向ける
そこには赤い髪を濡らし、タオルで髪を拭くシセルの姿だった
服は相変わらずの胸元を大きく開いたコンバットスーツの姿でブランクを見下ろしていた
「早く起きろ、ブランク
今日は【オリジン】の管轄するシティへ物資を届ける手筈の予定だろう?
直ぐに風呂に入って済ませるぞ、いいな?」
「―――」
ブランクはシセルの指示に頷き、ベッドから起き上がって部屋を出た
ザァ―――
湯気の立ち上る浴槽の中、ブランクは一人身体の硬直を解していた
―――ハズだったのだが…
「ねぇブランクー、ボディーソープ何処だった?」
「ちょっとさぁ、洗ってる最中に洗面器とらないでよぉサンク」
「いいじゃねぇか、サリー
お前頭洗ってる間くらい待ってくれよ」
「ちょっと静かにしてほしいんですが2人共?
ただでさえ窮屈な浴槽場なんですから……ひゃあぁっ!!
こ、コラッ! アミ!!
いきなり後ろから抱き付かないでもらいたいのですけど!?」
「あはは、サリサおっきー
いいなーいいなー」
「―――」
只今ブランクは身体を洗い、湯船に入ったその時に彼女らが入ってきたのだ
そして立ち往生しているという状態に陥っている
彼女らは無論ブランク自身を男性として認識している
しかしブランクには“人間的な感情”は無く、そもそも彼が彼女らを襲うような不届き者でもない
彼からすれば同じ“個体”が自身の居るエリア(部屋)に入ってきたとしか認識していないのだ
彼は任務のみを遂行し、完遂する事にしか動かない事を彼女らは知っている
最も、当初はそれを知らない、またはそうであっても信用できなかった為、当然ブランクはその彼女らから一時期「変態」呼ばわりされていたが
今に至っては彼女らから信用されている
………が、一部例外もいる
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